物理学解体新書

ナイジェリア詐欺

メールを使った犯罪「ナイジェリア詐欺」が流行しかかっているようです。

Google、Yahoo!SEARCH(BETA)で、「ナイジェリア詐欺」「振り込め詐欺」「フィッシング詐欺」を検索すると、検索件数はそれぞれ以下のようになりました。(2005年9月13日　現在)

ナイジェリアは、国土面積が日本の約2.5倍、人口1億3,560万人のアフリカの大国です。
この詐欺の被害がナイジェリアから世界へ広まったことから、この名がついたようです。

ナイジェリア詐欺の手口を紹介しましょう。
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まず、某国高官(の意を受けた人物)から「貴方の銀行口座を貸してくれないか」とのメールが届く。
当該国で、クーデターの動きがある。
王家が持つ複数の銀行口座が着々と凍結されているので、なんとか貴方の銀行口座を経由し、王家の資金を海外に逃避したいのだ。
ご協力いただければ、資金の3%にあたる◎億円を謝礼する。
ついては、送金のために必要な手数料と保証金100万円を、王家指定の口座に振り込んでもらいたい。
くれぐれも、ご内密に。
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この後の展開は、説明するまでもないでしょう。

ここでは、王家のケースで紹介しましたが、文面のバリエーションは様々です。
・政府要人から「リベートで得た資金を海外移転したい」
・支援団体から「戦災孤児のために集めた募金が、反乱軍に徴収されそうなので海外移転したい」
・族長から「旧政権の資金を日本へ投資したい」

この他にも、まだまだ種類があると予測できます。
元々は英文のメールであるが、模倣犯は日本語でメールを作成するでしょう。

「このような文面で詐欺にかかるのか？」という疑問もあります。
ここで思い出すべきは、振り込め詐欺(オレオレ詐欺)の実態です。
「なぜ、振り込め詐欺を見破れないのだろう」と多くの人が考えますが、現実に振り込め詐欺による被害額は増加しています。
分かっていても、だまされる可能性は、常にあるのです。

ナイジェリア詐欺による被害は、1980年代前半から発生していました。
もともとは航空郵便を用いた詐欺でした。
次いでファックスが利用されて、最近では電子メールになりました。

つまり、媒体が変化しただけで、手口そのものは20年以上の間 脈々と受け継がれているのです。
発祥の地ナイジェリアでは、刑法419条でこの詐欺への対応策を講じていると聞きます。
このことからナイジェリア詐欺を「419詐欺」と呼ぶこともあります。

日本人の被害者が、発生したことを受けて、ジェトロ(独立行政法人　日本貿易振興機構) は、再三「ナイジェリア詐欺」に関する注意を喚起しています。
(ジェトロの注意喚起：http://www.jetro.go.jp/contact/faq/419/ )

上記の検索結果を見ても、ナイジェリア詐欺に関する認識はまだまだ、十分に浸透していないようです。
なお、日本の国内法では、口座の売買や貸借を禁止しています。
これに違反すると処罰の対象になることも忘れてはなりません。

当然であるが、これはナイジェリアの国民が全体で関わっている犯罪ではありません。
「ナイジェリア詐欺」という言葉の印象だけで、ナイジェリアの一般市民や国家に対し、偏見を持ってはならないでしょう。
まして、犯罪とは無縁のナイジェリア人が、この詐欺を理由に日本国内で嫌がらせを受けるとしたら、それは日本にとっての恥でしかありません。

「情」に付け入るのが振り込め詐欺なら、「欲」を誘うのがナイジェリア詐欺です。
親族を思っての、振り込め詐欺の被害者には同情の余地があります。
しかし、ナイジェリア詐欺にかかれば明らかな自業自得です。

「儲け話が、向こうから転がりこんでくることはない」
この真理を忘れてはなりません。

参考サイト
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nigeria/data.html
http://www.jetro.go.jp/contact/faq/419/
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20010606110.html
http://www.jiten.com/dicmi/docs/k21/20263s.htm
http://lucky.web.infoseek.co.jp/sagi/archives/000113.html

2005/11/09

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