物理学解体新書

ランフォードの実験

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熱の正体に迫ったランフォードの実験

カロリック説(熱素説)

熱の正体を、熱素(カロリック)という物質と考える説をカロリック説(熱素説)という。
18世紀になっても、熱の正体は解明されていなかった。
カロリック説(熱素説)と熱運動説があったが、カロリック説(熱素説)が優勢であった。


カロリック説(熱素説)では、物質の内部にカロリック(熱素)が潜んでおり、カロリックが物質内に流入すると温度が上がると考えた。
このような考えは根強く、ラボアジエは、熱を光とともに元素のひとつに加えていたほどだった。


カロリック説を否定し、熱の正体が運動エネルギーであることに一歩迫った実験がランフォードの実験である。



砲身を削る実験

18世紀末、ランフォードは、大砲の製造を監督しているときに、カロリック説(熱素説)に疑問を持った。
大砲の製造では、金属の円柱の内部を削って、チクワ状の砲身をつくる。


内部を削ると膨大な熱が発生する。
もし、熱の正体がカロリック(熱素)であるなら、削り続ければカロリックが出尽くして、やがて熱は生じなくなるはずだ。


そこでランフォードは密閉した空間で金属を削る実験を行った。
密閉していれば、新たにカロリック(熱素)が侵入することはないはずだ。


この実験では、削っている限り、いくらでも熱が生じることが確認された。
熱が生じ続けるのは、熱の正体がカロリック(熱素)でないからである。


当時のカロリック説(熱素説)では、カロリックが抜け出ると物質の比熱が低下すると考えられていた。
ランフォードは発熱の前後で比熱を測定し、まったく変化しないことを突き止めた。

■最初のページ:物理学史上の実験

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2016/10/19



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