物理学解体新書

熱の仕事当量

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熱の仕事当量とは

熱と仕事は同じなのか?

仕事と熱量の比を熱の仕事当量という。
1calは4.18605Jに相当する。(理科年表)


元々仕事と熱は別のものと考えられてきた。(下図)


高温の物体と低温の物体を接触させると、やがて温度は均一になる。
これは高温の物から低温の物体への熱が移動したためだ。


熱の正体がまだわかっていなかった時代、熱はカロリック(熱素)という元素だと考えられていた。
この説に疑問をもったランフォードが実験により、カロリック(熱素)を否定し、熱の本質を物体内のエネルギーだと主張した。
ランフォードの説はやがて広く支持されるようになる。


一方、力と移動距離の積が仕事であり、仕事をする能力をエネルギーという。
熱の本質がエネルギーであるなら、仕事と熱量は等価ということになる。
もし、これが本当なら仕事は熱に変換できるはずだ。


これをジュールが実験で証明し、熱量1calが仕事4.1Jに相当することを明らかにした。


まったく異なるものと思われていた熱と仕事が、ジュールの実験で1:4.1であることが判明したのである。
この比率が熱の仕事当量である。
今日、熱エネルギーとう言葉もあるが、これは熱と仕事が等価であることの現れである。


仕事と熱は同じであることが分かると、cal(カロリー)とJ(ジュール)の二つの単位が並存するのは合理的でない。
そこで、国際単位(SI単位)ではJを採用し、熱量の単位calは却下された。
これは熱はエネルギーの一形態であり、Jで表現できるからである。


なお、日本の計量法では、calは栄養学等の分野での利用に限定されている。


次のページではジュールが行った熱の仕事当量の実験について解説する。

■次のページ:熱の仕事当量の実験

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2016/10/15



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