温度と熱
ヤカンに水を入れ、火にかけるとやがて沸騰する。
炎の熱が水に流入し、水の温度が上昇したからだ。
今度は、火を止めこのヤカンを放置すると、自然に冷める。
水(湯)中の熱が大気中に流出したからだ。
このように、熱が流入すると温度が上昇し、流出すると温度は下がる。
高温の物体Aと、低温の物体Bがある。
ABを接触させると、Aの温度は下がりBの温度が上昇する。
AとBはやがて同じ温度に達する。
この状態を熱平衡という。
熱平衡に達するまでの間、Aから流出した熱と、Bに流入した熱は等しい。
(外部との熱の出入りはないと家庭して)
そして、熱は温度差があるときにだけ、高温側から低温側へ移動(流入・流出)するのだ。
熱と温度は混同しやすい。
「温度差によって物質から出入りするもの」が熱であり、「熱の出入りによって変化する物質の状態」が温度である。
後述するが、熱はエネルギーの一形態である。
物体が熱の形でエネルギーを受け取ると、その物体の温度が上昇する。
「熱」という語感は非常な高温を連想させるが、物理学においては「高温」とは限らない。
温度はもともと、寒暖・温冷の度合いの指標であった。
物質の内部のエネルギーの状態が寒暖・温冷として発現するのである。
温度の単位
温度の単位としてなじみ深いのが「℃」だ。
「セ氏(摂氏)温度」「セルシウス温度」ともいう。
水の凝固点(氷点)を0度、沸点を100度とした温度体系である。
(ただし、今日の厳密な定義は異なる。)
セ氏温度に273.15度を加えたものが、絶対温度である。
単位はK(ケルビン)で表す。
水の凝固点(氷点)は、セ氏で0℃、絶対温度で273.15Kとなる。
絶対温度は別名「熱力学温度」とも呼ばれている。
セ氏温度は、水の凝固点(氷点)を基準として「0℃」としている。
絶対温度の0K(絶対0度)は「マイナス273.15℃」となる。
「マイナス273.15℃」という中途半端な数字にどれほどの意味があるのだろうか?
実は「マイナス273.15℃」とは、この宇宙で最も低い温度なのである。
「宇宙で最も低い温度」といっても、「今まで観測した中で、記録に残る最も低い温度」という意味ではない。
マイナス273.15℃以下の温度は、宇宙のどこを探そうとも、絶対にあり得ないのだ。
物体は原子から構成されており、各原子は常に振動(または移動)している。
つまり、各原子は運動エネルギーを持っているのだ。
静止した物体Cの運動エネルギーはゼロである。
しかし、この物体Cを構成する原子はすべて運動エネルギーを持っているため、物体Cの内部はエネルギーで満ち溢れていることになる。
このエネルギーを内部エネルギーと呼ぶ。
内部の原子が激しく振動(または移動)するほど、内部エネルギーは大きくなる。
内部エネルギーが大きいほど、その物体の温度は高い。
一方で、内部の原子の振動(または移動)がおとなしくなるほど、内部エネルギーは小さくなるので、その物体の温度は低くなる。
内部の原子がまったく振動しなければ、内部エネルギーはゼロになる。
これがマイナス273.15℃、つまり絶対0度だ。
原子がまったく振動しない状態よりもさらに、内部エネルギーを低くすることはできない。
絶対0度が最も低い温度なのだ。
熱力学を論じるとき、絶対温度はセ氏よりも非常に合理的なのだ。
熱の単位
熱はエネルギーの一形態である。
物体は外部から流入した熱を、内部エネルギーとして蓄積するのだ。
内部にあれば「内部エネルギー」、外部にあれば「熱」というように、物体の内外によってエネルギーの名称が変わるとイメージすると理解しやすい。
熱の単位はエネルギーと同じでJ(ジュール)で示す。
以前、熱の単位にはcal(カロリー)が割り当てられていたことがあった。
これは、熱がエネルギーの一形態であることが究明される以前にcal(カロリー)が定義された歴史的な経緯による。
現在でも、慣習としてcalが使用されている場合もある。
cal(カロリー)とJ(ジュール)は同次元のため、以下の式で換算することができる。
1 cal≒4.186J
この関係を熱の仕事当量という。
温度と熱の関係
上記で、熱と温度をそれぞれ解説した。
熱と温度を結びつけているのが、比熱(正式には比熱容量)だ。
1[kg]の物質の温度を1[K]上昇させるために必要なエネルギー[J]で定義する。
一方で、1[mol]の物質の温度を1[K]上昇させるために必要なエネルギー[J]で定義した「モル熱容量」も利用されている。
モル熱容量は「分子熱」、または「原子熱」と呼ばれる場合もある。
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