重力質量と慣性質量
質量が大きい物体ほど動かしにくい。
そして質量が大きいほどより大きな万有引力を生じる。
と言うことは、質量には2つの側面があることになる。
一つ目は、万有引力の源としての側面だ。
万有引力は物体の間に作用し、互いに引き付けあう力だ。
その力の大きさは相互に引き合う物体の、それぞれの質量の積に比例する。
つまり、それぞれの質量が大きいほど、作用する万有引力は大きいということだ。
この側面を捉えた場合の質量を特に「重力質量」という。
「重力質量」は万有引力の大きさを決定する量だといってもいいだろう。
二つめは動きにくさの尺度としての側面だ。
質量の大きな物体は動かしにくく、質量の小さな物体はより少ない力で動かしたり、動きの方向を変えることができる。
運動の第二法則だ。
この側面を捉えた場合の質量を「慣性質量」とよぶ。
例えば、ある物体Aがあるとしよう。
このAが、他の物体Bと引き合う力から測定し、そこから算出されるのは「重力質量」。
物体Aに一定の力を加えて、加速度を測定し、そこから算出されるのが「慣性質量」。
ということである。
これから分かるように、重力質量と慣性質量は、本来、違った本質に根ざす概念なのだ。
ある物体があれば、その物体は重力質量と慣性質量の二つをあわせ持つことになる。
だから、重力質量と慣性質量をそれぞれ測定したら、違った値が得られてもいいはずだ。
とことが、まったく異なる概念であるにもかかわらず、重力質量と慣性質量の値は109の精度で一致することが実験により確認されている。
重力質量と慣性質量は「はたして同等なのか?」という議論が古くからあり、今日では両者は一致すると考えられている。
またアインシュタインも両者は区別できないとして、一般相対性理論を展開している。
本サイト「物理学解体新書」では、断りのない限り両者は区別せず「質量」として用いる。
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