物理学解体新書

温室効果[2]

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温室効果とは

物体はみな温度に応じた放射を出す。
放射によって熱を逃がすのだ。
これを放射冷却という。


熱いフライパンも放置しておけば、やがて冷える。
これなどは放射冷却の典型例だ。

フライパンの放射


一日の気温の変化は、放射によって説明できる。
日が昇ると、太陽からの放射が増加し地表が暖まる。
地表からも放射が出るが、太陽からの放射が上回っていれば、気温は上がる。


夕方から翌明け方にかけて、太陽からの放射が劣勢(または皆無)になり、地表から放射で熱が逃げていく。
夜間に気温が低下するのは、放射冷却が原因なのだ。


このように、気象における放射冷却は特別な現象ではく、日々起こっていることなのである。
冬場に気象情報なので「放射冷却による冷え込み」のような表現を見聞きする。
放射冷却は冬場特有の現象ではなく、冬場はそれが顕著になるだけなのだ。


地球の気温は、太陽から受ける放射と、地球から出て行く放射の差し引きによって、決まるはずだ。
理論的な計算によると、地球の気温は、マイナス15℃〜マイナス18℃になるという。
一方で、実際の地球の平均気温はプラス15℃である。


理論値と現実の値には、約30℃の差がある。
これは地球の放射冷却を邪魔する何かがあることを示唆している。
その「邪魔する何か」が温室効果なのだ。


昨今の地球温暖化問題で、温室効果はワルモノとされている。
本来、温室効果は地球環境を温和に保つために必要な作用なのである。
温室効果が過剰になることが、生命にとって脅威となるのである。


地球は極寒の天体になってもおかしくはなかった。
温室効果が適度に作用したからこそ、生命が育まれ今日にまで至ったのである。
温室効果は、地球の生物にとって必要な存在なのだ。

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2005/08/25



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