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トランジスタの動作

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トランジスタの動作

ここではトランジスタの働きについて解説しよう。
トランジスタにはnpnトランジスタ、pnpトランジスタがあるが、ここではnpnトランジスタで考える。



トランジスタのコレクタ-エミッタ間に直流電源を接続する。
これによってコレクタ-エミッタ間に電圧が与えられたことになる。

この電圧をコレクタ電圧といいVCEと表記する。




これが導体であれば、電圧を加えたことによって電流が流れる。
ところが、トランジスタではそうはならない。
電流は流れないのだ。



コレクタ-ベース間が逆方向電圧になるのでここに空乏層が発生する。
ここを電流が通過できないので、結果としてトランジスタには電流が流れないのだ。



今度は、ベース-エミッタ間に電圧VBEを追加してみよう。



VBEは順方向の電圧なのでベース-エミッタ間には電流が流れる。
ベースに流入する電流をベース電流IBという。



IBが流れたとたん、コレクタ-エミッタ間にも電流が流れ出す。
このとき、コレクタに流入する電流をコレクタ電流といいICで表現する。



ここでのポイントは、微少なベース電流を与えることで大きなコレクタ電流が流れることである。
ベース電流は、コレクタ電流を流すためのスイッチの役割を果たしているのである。



ベース電流に対するコレクタ電流の比率を直流電流増幅率という。



ベースにはベース電流が、コレクタにはコレクタ電流が流入する。
流入した電流がエミッタから流出する。
この電流がエミッタ電流IEだ。



IE=IB+IC の関係がある。



ここで、ベース電流をちょっとだけ増やすと、コレクタ電流が大きく増加する。
トランジスタはベース電流のわずかな変化を、コレクタ電流の大きな変化として取り出しているのだ。
ベース電流とコレクタ電流を電流計で測定すると、針の動きは次のアニメのようになる。

ベース電流の変化



例えば、マイクで拾った音声は微少であるが、その微少な変化を増幅してスピーカーを鳴らすような場合に利用できる。




なぜ、電流が流れるのか?

ベース電流を少し流しただけで、なぜ大きなコレクタ電流が流れるのだろうか?
ベース-エミッタ間は順方向電圧なので、ダイオードと同じ原理で電流が流れる。



エミッタ領域からベース領域に流入した自由電子のうちの一部はベース端子へと流れてく。
しかし、大部分はベース領域を通過して、そのままコレクタ領域へ流れていく。
ベース領域は極めて薄い。
このためベース領域に流れ込んだ自由電子はベース端子へ方向転換する余裕もないまま空乏層を乗り越えてコレクタ領域へと突入するのだ。



コレクタは電源のプラス端子につながっている。
一度、コレクタ領域へと突入した自由電子には空乏層など、移動の障害はない。
電源のプラスに引かれてコレクタ端子から流出する。



これがコレクタ電流である。

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2010/02/18



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