物理学解体新書

元素と原子

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元素と原子の違い

元素は概念

身の回りには数多くの物質があり、その種類をすべて数えあげるのは不可能と言っても過言ではない。
一方で、物質の種類は無数でも、これら物質は「限られた少数の成分の組み合わせで成り立っているのではないか?」といった考えが紀元前からあった。
このような、すべての物質の根源となる成分を元素という。


古代の中国では、木・火・土・金・水(もくかどごんすい)の五つを元素と考え、「五行」と言った。
古代ギリシアでは、タレスが水を、アナクシメネスが空気を、ヘラクレイトスが火を元素と考えた。
その後、アリストテレスが土、水、空気、火が元素であるとし、これら元素の実体は根源的な粒子であると考えた。
これを「アリストテレスの四元素説」という。


19世紀にドルトンが、物質の根源となる基本粒子(原子)が存在するという仮説を発表した。
これをドルトンの原子説という。
今日では、無数の実験事実により、物質の根源となる成分は原子であることが証明されている。
つまり、元素の正体が原子なのである。


物質の根源を示す概念を元素といい、元素の実体が原子なのである。




元素は同じ数の陽子を持つ原子のグループ

原子の性質は、その原子が含む陽子の数によって決定される。
例えば、炭素原子、窒素原子、酸素原子は、それぞれまるで違う性質を持つ。
炭素原子は6個の、窒素原子は7個の、酸素原子は8個の陽子を持つ。各原子のそれぞれ固有の性質は、各々の陽子の数によって違ってくるのだ。


陽子の数が同じなら、同じ元素に分類される。
ところが、陽子の数が同じでも、中性子の数が異なはれば違う原子とみなされる。
中性子の数が違っても、陽子の数が同じなら(原子番号が同じなら)同じ元素だ。

原子は個々を示すが、元素は中性子の数は関係なく、同じ数の陽子を持つ原子のグループのことなのだ。


陽子を3つ持つ元素はリチウムであるが、この元素には3つの中性子を持つリチウム6と、4つの中性子を持つリチウム7がの二つのタイプがある。
リチウム6とリチウム7は違う種類の原子であるが、元素としては同一だ。

元素と原子の違いの図


水素原子2個と酸素原子1個のように、原子は個数で表現することができる。
一方で、元素はグループだから原子のように個数での表現は難しい。
「この物質を分析したら水素と酸素の2種類の元素が検出された」などと表現する。


同じ元素でありながら質量数が異なる原子を同位体という。
リチウム6とリチウム7は同位体だ。



原子番号

陽子の数を使って、原子を区別することが便利になる。
陽子の数をその原子の背番号のようなものととらえ、原子番号と呼ぶ。
炭素原子の原子番号は6である。


同一の原子番号を持つ原子のグループが元素である。
同一の元素に属する原子は、すべて同一の数の陽子を持つ。
しかし、中性子の数がみな同一であるとは限らない。
原子番号が同一でありながら、中性子数の異なる原子を同位体という。


一般に一つの元素には複数の同位体が含まれる。
これら元素を原子番号の順に配列したものが周期表である。

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