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古代湖

湖に流入する河川は、砂や土を持ち込む。
これが湖底に堆積し、だんだんと湖を埋め立てていく。
完全に埋め立てられてしまうと、湖は消滅する。


人間が手を加えなくても、湖は自然に埋め立てられてしまうのだ。
湖の誕生から、埋め立てによる消滅まで、およそ数千年〜数万年。
湖の寿命は意外と短い。


ところが、中には10万年以上の長寿の湖もある。
このような湖を「古代湖」という。
古代湖は、世界中で10か所程度しか確認されていない。
非常に貴重な存在なのだ。


世界一古いバイカル湖は、2000万年の歴史を持つ。
桁違いに長寿だ。
世界一の透明度や豊かな生態系が評価され、世界遺産にも認定されている。


琵琶湖は400万年の歴史を持つ日本で唯一の古代湖である。
(600万年とする説もある)
バイカル湖、カスピ海に次いで世界で3位の古さである。
(タンガニーカ湖と同立で3位)
日本一の琵琶湖も、長寿国にふさわしく世界有数の長命の湖なのだ。


琵琶湖は当初、三重県伊賀盆地付近に誕生した。
その後の、度重なる地殻変動で現在の位置まで移動してきたという。
参考.:http://wwwaquabiwa.jp/contents/tour/what/sugata/docs/1.html
もともとの大きさと、地殻変動の繰り返しが、長寿の原因のようだ。
このままのペースで移動すると、100万年後には、日本海に到達して消滅するという予測もある。


魚介類の図鑑を見ると、「琵琶湖だけにいる魚」という種族を見かける。
ビワコオオナマズやビワマス、ニゴロブナがこれに相当する。
このような固有種は、15種程度が確認されている。


湖の寿命が長いと、生物が独自に進化する時間が確保できるから固有の種が生じやすい。
これは、孤島での生物進化に似ている。
他の陸地と交流のないガラパゴス島では、生物が独自の進化をとげた。


他の湖ではこうはいかない。
生物が進化する前に、湖が寿命を迎えてしまうからだ。


これほど、豊かな歴史を持つ琵琶湖が、危機を迎えているという。
開発に伴う水質の悪化や、外来魚による生態系の破壊が深刻らしい。
世界遺産のバイカル湖とは、天と地の差である。


行政やNGOも保全のための活動を強化している。
参考:http://www.wwf.or.jp/wetland/biwako/cnsrv/index.htm
環境の回復を願ってやまない。


100万年後の日本海到達以前に、人間の手で生態系が消滅することがあってはならない。

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2005/10/17



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