物理学解体新書

コロイド

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コロイド

コロイドとは、物質の微細な粒子が、気体中や液体中に分散している状態をいう。
分散している物質の微細な粒子を分散相、分散相が入り込んだ気体や液体を分散媒という。


分散媒が液体であるコロイドをコロイド溶液という。
分散媒の種類は水であるケースが多い。


コロイドを小さな粒子だと誤解している人がいる。
コロイドは粒子ではなく粒子が分散している状態のことなのだ。
コロイド中の粒子のことをズバリ表現したい場合は「コロイド粒子」という。


コロイド粒子のサイズは10-5〜10-7cm程度である。
これは通常の分子やイオンに比較してかなり大きいが、光学式顕微鏡では見ることができないサイズだ。
このサイズでは、ろ過は不可能だ。ろ紙の目を通り抜けるからである。
一方で、セロハン膜やぼうこう膜は通過できない。



コロイドの性質

性質説明
チンダル現象コロイド粒子が光を乱反射する現象をチンダル現象という。
ブラウン運動液体に浮遊したコロイド粒子が、不規則(ランダム)に運動する現象をブラウン運動という。
吸着コロイド粒子は表面積が大きいため、他の物質を吸い寄せやすい性質を持つ。これを吸着という。
透析コロイド溶液をセロハン紙に接触させると、溶媒はセロハンを通過するがコロイド粒子は通過できない。このようにセロハン紙を利用してコロイド溶液を精製する方法を透析という。
電気泳動コロイド粒子は常に帯電している。そして同じ種類のコロイド粒子であれば、電荷の種類(正負)は同じだ。このため、コロイド溶液に直流電圧をかけると、コロイド粒子が一方の極に集まってくる。これを電気泳動という。



粒子によるコロイドの分類

分類説明
分子コロイド一つのコロイド粒子が単一の巨大分子であるコロイドが分子コロイドである。
分散コロイド不溶性の物質が媒質中に分散しているコロイド
会合コロイド(ミセルコロイド)「疎水性の部分」と「親水性の部分」の両方を持つ分子が水中にあるとき、この分子は相互に「疎水性の部分」を向け合ってコロイドとなる。このような作用を会合といい、会合によって作られるコロイドを会合コロイドという。



性質によるコロイドの分類

性質による分類説明
疎水コロイド少量の電解質を加えて沈殿するコロイドを疎水コロイドという。この沈殿を疑析という。
親水コロイド多量の電解質を加えて沈殿するコロイドを親水コロイドという。この沈殿を塩析という。



ゾルとゲル

液体中にコロイド粒子が少量混入したものをゾルという。
ゾルの状態であっても液体の流動性(流れやすさ)は変わらない。
このような液体がはいったビーカーを倒せば、なかのコロイド溶液はこぼれてしまう。


ゾルの例として牛乳が挙げられる。
牛乳は水中に脂肪のコロイド粒子が分散したゾルである。
牛乳の入ったコップを倒せば、中身はこぼれてしまう。


ところが、コロイド粒子が大量に混入すると、溶液の様子がガラリと変わる。
コロイド粒子が互いに接触したり、つながったりするので、液体は流動性(流れやすさ)を失ってしまうのだ。


このようなコロイドをゲルという。
ゲルの例は、プリン、ゼリー、ところてんである。
プリンの容器を倒しても、中のプリンはこぼれない。
流動性を失っているからだ。


ゲルは一般に水を含んでいる。
ところが、ゲルがこの水を失ってカラカラに乾燥してしまう場合がある。
このような状態がキセロゲルだ。
寒天、ゼラチンがその例だ。

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2009/12/31



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