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力学的エネルギー保存の法則

保存力のみを受けて運動する物体の運動エネルギーポテンシャルエネルギーの和は常に一定である。
これを、力学的エネルギー保存の法則という。
力学的エネルギーとは、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの総称である。


ポテンシャルエネルギーと言っても色々ある。(「ポテンシャルの種類」参照)
ここでは、その代表として「位置エネルギー」を考えよう。


「運動エネルギーと位置エネルギーの和が一定」というのは、理解しやすい。
一方が減ればその分他方が増えて、その和(力学的エネルギーの総量)は変化しないということだ。


物体が高所から落下する場合、高さは刻々と低下するが、同時に物体の速度は速くなる。
位置エネルギーの減少と引き換えに、運動エネルギーが増加するのだ。
このとき両者の和は、落下中のどのタイミングを取っても、常に一定になるのである。


落下だけとは限らない。
物体を投げ上げたとしても、上昇中・落下中を通して力学的エネルギーは一定に保たれる。
空中の物体は重力(保存力)のみの作用を受けているからである。


物体が地面に衝突して停止してしまえば、高さも、速度もゼロである。
つまり、地面で停止すれば力学的エネルギーはゼロになり、保存されなくなるのだ。
力学的エネルギー保存の法則は物体の空中(上昇中・落下中)のみで有効なのである。


その理由は簡単だ。 力学的エネルギー保存の法則が有効になる大前提は、「>保存力のみを受けて運動する」場合だ。
地上で停止した物体は、重力(保存力)以外に地面からの抗力を受けている。
保存力のみでないので、力学的エネルギー保存の法則が成立しないのだ。


一方で、上昇中・落下中の物体は、重力(保存力)のみを受けて運動している。
力学的エネルギー保存の法則の要件にミートしているので、法則が有効なのだ。


ところで、落下中の物体が持っていた力学的エネルギーは、衝突後にどこへ行ったのだろう。
衝突と同時に衝撃音が発生する。
力学的エネルギーは、音のエネルギーに変換されるのだ。


力学的エネルギーは、その他にも地面との衝突で生じるにも変換される。
衝撃で物体や地面が変形すれば、それは仕事がなされたことになるので、ここでもエネルギーが変換される。


形が力学的エネルギーから変わっても、エネルギーの量に増減はない。
落下で物体が停止し力学的エネルギーはゼロになっても、エネルギー保存の法則は当然有効なのだ。


なお、力学的エネルギー保存の法則とエネルギー保存の法則は似た言葉なので混同する人がいる。
両者は別のものであることを認識しておく必要がある。
(上記の文も識別して読んでください。詳細は「エネルギー保存の法則」参照)


上記では落下物で説明したが、力学的エネルギー保存の法則は、他の保存力であっても成立する。
例えば、バネ弾性のみを受けて振動する錘(おもり)などの単振動がその例だ。
バネ弾性力も保存力である。
ここではバネ弾性力による位置エネルギーと錘(おもり)の運動エネルギーの和が常に一定に保たれる。


バネ弾性力のみが作用した環境であれば、永遠に単振動を継続するはずである。
実際には、空気との摩擦やバネ自体の発熱によって、力学的エネルギーが他のエネルギーに変換されていく。
厳密にバネ弾性力のみが作用しているのではないので、単振動はやがて減衰し停止するのである。


その他、クーロン力や磁気力のみを受けて運動する物体(荷電粒子等)においても、力学的エネルギー保存の法則が成立する。
クーロン力や磁気力も保存力だからだ。






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